ベームのThe Flute and Flute Playing

4:材質


管体の材質で音は変わるか?
フルーティストの間で頻繁に交わされるこの議論に対してベームは「変わる」という考えを示しています。
そこでベームは管体の「振動能力」という言葉を使って、それが材質のもともと有する能力であることもあれば、人工的に手を加えられて初めて発生するものでもある、としています。
たとえば銀であれば薄く硬く引き伸ばされた129gのもの、木であればコーカスウッドもしくは南米のグラナディラが望ましい、といっています。(黒檀と柘植は安い楽器にしか使われない、とも書いてあります)
金属製と木製のどちらが良いかは決められない、としながらも銀は大きな場所で演奏するのに適していて、しかしその発音の容易さから演奏者が吹きすぎてしまうきらいがある、対して木のフルートでは大抵の人が良いアンブシュアを保つのに適していて、特にドイツで好まれる性質の充実した響きを有する、としています。
ベームによる銀製のフルートには金のリップレートがついている場合が多いのですが、その効能に関してここでは触れていません。楽器商に宛てた手紙でアルトフルートの頭部管に関して銀の管に金のリッププレートをあしらったものはどのように大きなホールでも不足しない輝かしい響き、銀の管に木のリッププレートではパワーは失われることなく音色はさらに豊かなものになる、といっています。


pankomedia:
ベームは各種の木材、金属、そして象牙からガラスや陶器、ゴムや樹脂にいたるまでいろいろな実験をした末に、銀と洋銀そして2種類の木材を採用したといっているわけですが、ここでもベームの仕事ぶりはは旺盛ですね。

enokida:
ええ、しかし英訳者のミラーが指摘しているとおり、材質によって響きに何らかの違いはあれどそれが分子の振動云々というような科学的な方面から説明されたということは今日でもないわけですね。

pankomedia:
そのあたりについては私も知識がないのでなんともいえないのですが、たとえば同じ銀の楽器でも良く鍛えられた薄い管のものはそうでないものと比べて音のとおりが違うようには思っています。

enokida:
そう、金属であろうと木であろうと卓越した職人が作った楽器はその他大勢とはまったく違う。だからフルートを選ぶのにまず材質ありきというのはやっぱり違うんですね。いろいろ吹き比べて一番良い音が出るのがたまたま洋銀のフルートだったら、迷わずそれを選ぶべきなんですよ。

pankomedia:
しかし、その良い音の基準がまたそれぞれに違いますよね。

enokida:
そりゃあそうです。音楽にこれが絶対なんてことがあるはずないですから。私のこの洋銀ルイロットでも他の人が吹いたら全然鳴らないってこともあるんだし。

pankomedia:
話せば話すほど身も蓋もないことになりそうですね。

enokida:
そう、材質の話には限界があって議論がすぐにすり替わるから... ベームもそっけない書き方なのはそういうことじゃないでしょうか。他の項のように念には念をという感じではないですね。

pankomeia:
それでは、とりあえずベームはこんなことを書いたということだけで。

enokida:
ですね。その辺でやめておきましょう。


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